【モンハン】アイスボーンのミラボレアス

びっくりするくらい感情を突き動かされました。ベリオロスなどの時にも感じたことですが、「このモンスターと戦うというのはこういうことなんだ」と思い知らされる感覚があって。

例えばベリオロスの場合、スパイクや氷ブレスなどを巧みに用いてハンターに強いプレッシャーを常にかけてきて、戦闘が終始(良い意味で)息苦しかったのでした。

ワールドの表現力で描かれたそれは、プレイヤーたる僕自身に「自分は今、狩猟“されている”」と感じさせるに十分なもので。ベリオロスという存在が大自然の中でどう獲物を仕留めてきたのか、それをゲームプレイの中で味わわされている、と感じたのです。

 

では、ミラボレアスの場合はどうだったのか。それを語るにはまず、「これまでのミラボレアス」を語る必要があるでしょう。

正直、過去作におけるミラは「裏ボス。這いずりが強い。設定が凝っている」くらいのイメージしかない方も多かったのではないでしょうか。

「凝った設定」といえば、シュレイドを一夜で滅ぼしただとか、体の高熱でハンターの鎧などを溶かし取り込んでしまうだとか。それらは面白い設定でしたが、あくまでゲームプレイの中でそうした設定が再現されているとは感じ難いものでした。強いて言えば、荒廃したシュレイド城の風景があることでそう感じられたかも、くらいでしょうか(こうした手法を環境ストーリーテリングと言うそうです。3rdの渓流でアマツマガツチがやってきた過去を描いてる廃墟とかもそれ)。

 

しかし、アイスボーンのミラボレアスはなんというか、次元が違っていました。

なんだあのブレスは……

フィールド全面を埋め尽くし、強固な防護壁すら溶かし尽くし。あ、これは国滅ぼせますわ。

なんだあの拘束攻撃は……

ミラボレアスの胸あたりにハンターがズブズブ取り込まれていく、あ、溶ける、取り込まれる、やばい、ていうか設定再現じゃんこれやばい、

「これがミラボレアスか」と。「これが伝説か」と。

PS4だからこそ可能になった圧倒的な表現力に感動しっぱなし。

しかも、戦闘BGMでココット村(目覚め)やワールドメインテーマ(星に駆られて)やモンハンシリーズメインテーマ(英雄の証)までぶっ込んでくるもんだから。滾るとかそういう領域ですらない、これまでのモンハンと歩んで来た人生全てをぶつける気持ちで挑みました。そしてクリアしたとき、初代クリアBGMの「Triumph!」、アルバの前例から予想はできたけどやっぱり泣いちゃう。

 

シナリオも相当やばくて。

MH4ファンへのファンサービスは言わずもがな。陽気な推薦組の彼からすれば、筆頭リーダーと調査班リーダーの仲間想いな姿勢は重なって見えたのでしょうね。あと、我らの団ハンターとワールドハンターも。

個人的に一番響いたのはあれかな、カットシーンで船内部が映し出された瞬間かな。すぐに「あっ」ってなりました。

新大陸行きの船から始まった物語に重ね合わせるように、現大陸行きの船で再び「あんた、緊張してる?」と。泣いちゃうよこんなん。

2つのカットシーンで細かい違いが色々あるので探してみるのもいいかもしれません。

 

そして久々の総司令、良かったなぁ。「彼らを侮る事こそ 最大の過ち」みたいに言ってましたね。

アンイシュワルダ戦前の受付嬢の「私はずっと見てきました」を思い出しました。あのハンターと実際に共に歩んできてくれた人達の揺るぎない信頼が素敵で。

将軍も良いキャラでした。新大陸調査団とは縁があまりなかった外部の人間ゆえ、フラットに「撤退するべきだ」とか言える人材で。客観的には全く間違ったことを言っているわけではない彼がいてこそ、その逆を行く総司令の信頼の熱さがくっきりと浮かび上がってきます。

しかも、その総司令の発言を受けてすぐに戦闘を許可する方針に切り換えられるフレキシブルさ。彼は総司令の「ハンター達への信頼」を信頼して瞬時に託す判断ができたのです。これがいい上司か……。

他にも船の中で、現大陸の人達がスリンガーの説明を受けているシーンがあったりしたので、そうした「新大陸でも生きてきた人」と「現大陸でのみ生きてきた人」とのコントラストが面白かったです。

 

それから、受付嬢のセリフ。「黒龍が、あれだけの破壊力を持つ必要があった理由がわからない」みたいなことを言ってたと思うんですけど。

確かに、そこら辺のモンスターを蹴散らすだけならあれだけの攻撃力は必要ないですよね。

黒龍は「人類の敵」と言われていますが、もしかしたらあいつは本当に人類を滅ぼすことを目的にしているんでしょうか。それならあの攻撃力は合理的なんですよね。でも、竜人族ハンター曰く「人類を滅ぼすのは黒龍ではないのではないか」と。どうなんだろうなぁ。

今回はアルバ同様、「伝説、おとぎ話」の存在を正しく観測し、彼らを「現実」の座に叩き落とすことが目的でもありましたが、

それでもまだまだ不明な点が多い、得体の知れない、底の知れない奴だなぁ、と改めてミラの別格の存在感を感じるクエストでした。

 

こうしてワールドシリーズのストーリーはほぼ完結となりました。あとは歴戦王イヴェルカーナとの決戦を残すのみです。

ワールド、そしてアイスボーンはあまりにも「求めていたモンハン」すぎて、ひたすら感謝しかありませんでした。

総括するにはまだ少し早いですが、とにかくただただ、この作品に携わった皆さんに、ありがとうございました、と伝えたいです。