【モンハン】ワールドのストーリーとラスボスについて

僕はゲームオタクなんですが、ワールドのラスボスについて物凄く語りたくなったのでブログを作りました。勢いで。

 

※これは狩猟のコツや肉質データなどを載せた攻略記事ではなく、ストーリーの話をしたいだけですのでご注意ください。また本作(モンハンワールド)だけでなく、これまでのシリーズ作との比較のために、モンハン4についてのネタバレもありますのでその点もご留意ください

 

ゲームのラスボス戦って本来、プレイヤーのカタルシスがピークに達する地点なので、たとえばシナリオ上ではこんな展開をしたりします。

「ラスボスがシナリオの序盤や中盤に出てきて、プレイヤーに強制敗北イベントを味合わせ、最後には成長したプレイヤーが勝利する」

これはモンハンでも定番の演出です。序盤に各作品のメインモンスターがいきなり登場し、プレイヤーにトラウマを刻みつけ、けれどシナリオの終盤には倒される(序盤の初登場時点でも上手い人なら狩れる仕様の作品も多いですが)。

これは、敵キャラの圧倒的な力を早いうちに体感し負けたプレイヤーがのちにリベンジすることによって勝利のカタルシスを大きくする、ゲームでよくある演出です。

それに加えて「世界が危機に瀕していて、その原因がラスボスなので、それを倒せば世界を救える」みたいな、「ラスボスを倒す意味」をいくつもシナリオ上で付加してあげることによって、さらにカタルシスは増していきます。

 

そしてモンスターハンターシリーズは、「この世界に生きる生命はすべて、ただ必死に生きているだけの存在であり、世界を滅ぼそうとする意思などは存在しない。それは世界に大きな危機をもたらすこともある古龍ですら例外ではない」という価値観を、ずっと貫いてきたシリーズです。

特にそれをストーリー上で強調した作品が「モンハン4」です。

旅団クエストラスボスのシャガルマガラは、ハンターと共に巡る旅の果てに故郷に帰還しましたが、そこでただ生きているだけでとても危険なウイルスをばらまく存在であり、生かしておけば周辺の生態系や近くの村に重大な被害が及ぶため、ハンターは彼(性別無いらしいですが)の討伐に向かいます。

詳細は省きますが、そのウイルスもきちんと彼の生態として意味を持ったもので、決してなんらかの悪意によって撒かれたものではありません。

そんな、「モンスターハンター」の切なく壮大な生命のテーマを体現した彼は、ずっとシナリオ上で襲撃されたりリベンジしたりとしてきたゴア・マガラの成長した姿でもあり、倒せば世界(生態系と村)を救える。

つまりモンハン4は「ラスボス戦が熱くなる要素」と「モンハンが描く生命のテーマ」をシャガルマガラ1体に完璧に収束させた、最高のラスボスを描いた作品だと言えます。ていうか最高でした。ありがとうカプコン

 

さて、ここでようやく本題に移ります。ワールドの上位クエストラスボス、ゼノ・ジーヴァについてです。

彼を倒した際のカタルシスは正直、シャガルを倒したときに比べれば小さいものでした。

それも当然、彼はとにかく「ラスボス戦を熱くするためのお膳立て」が薄い存在でしたから(もちろんある程度はあります。薄いだけです。全く無いわけではありません)。

ふつう、強制敗北イベントを設けるだとか、「こいつがいると世界がヤバい」ということを事前にさんざん説明するだとか、そういう「お膳立て」がカタルシスに繋がるというのに、彼はぽっと出でいきなり戦うことになり(存在自体は事前に示唆されます)、これだけなら上位のラスボスにはありがちですが、最初に戦うときは未知の新種なので名前すら存在せず、名前表記はなんと「???」で、名前は倒した後に与えられます。

 

こんなの、ゲームのラスボスとしては微妙で、そういうのをきちんとやっていたゾラ・マグダラオスが下位ラスボスだったので、上位のストーリーはおまけにも感じられます。

しかし、「モンスターハンター:ワールド」のラスボスとしては、ゼノは最高のモンスターだと思います。

それではまず、ワールドのストーリーを振り返ってみましょう。

今作のハンターは、多くの古龍が10年周期で新大陸に渡っていく習性(古龍渡り)の謎を解明する調査団の一員です。

長年続いてきた調査に終止符を打つために新たに送り込まれたのです。

「未開の地を切り拓き、古龍渡りの謎に終止符を打つ」役割のハンター達に待っていたのは、古龍が「死ぬために新大陸にやってきた」という衝撃の真実でした(あくまでこれはフィールドマスターらの解釈ですが)。

 

今作ワールドは、「死の意味」を描いた作品だと思います。

たとえばワールドの世界観で重要な意味を持つ「五匹の竜のおとぎ話」や、主題歌「導きの唄」の歌詞の内容を簡単にまとめると、

「死を得ることによって、生き物は生を得ることができる」という内容になります。

たとえばヒトは、モンスターを狩りその肉を食料にしたり、その皮や骨で武器や建物をつくったりします。誰かの死を得ることで、生活することができています。それはもちろん現実に生きる僕らも同じで、だからこそご飯を食べるとき、それに感謝し「いただきます」って言いますよね。

また、自分自身もいつか死ぬからこそ、時間を意識するようになり、そこに時が生まれ、そこに変化や新たな生命の誕生といった物語ができます。

全ての存在が永遠に生きれば、何も失われないが、何も得ることができない。そんなことを描いています。

他にも、ゾラ・マグダラオスという膨大なエネルギーを持った古龍の死が新たな生態系の源になるだとか、

多くの死体が集まり、その中で強力な酸などでそれを分解し栄養をうむ瘴気の谷があるだとか、とにかく今作は「生命の死という変化が、時によって次の生命に繋がること」を強調しています。

 

そしてその物語の最後に現れたのは、あらゆる死を呼び寄せ(←古龍渡りの原因)、溜め込み、熟成して誕生した、新種の最強の古龍でした。

物語の最後に新種の古龍が出てくるのはもはやシリーズのお約束ですが、ほぼハンター以外の人物が最初に遭遇し発見直後に彼らには名前が与えられ、ハンターはその後に討伐に向かいます。

しかし今作は、ハンター自身が先頭をきって未開に挑む調査団の一員。だからこそ、見つけたばかり(ぽっと出)で、名前はまだないから最初は「???」表記の、あらゆる「死」を収束させたラスボスと戦うのだと思います。

そのため僕は、『彼が「???」なのって、最っっっ高にモンスターハンター:ワールドだよね』って思いますし、なんならこれからもゼノってより???(はてなはてなはてな)って呼びたいくらいこの演出が大好きです。

そして尻尾の断面が露骨に「導きの青い星」なのは言うまでもないですね。まさかここに仕込んでくるとは驚きです。

 

やっぱりゼノ・ジーヴァ(=???)も、シャガルマガラなどと同様、作品のテーマが収束した最高のラスボスだった。そう思います。

ラスボスが「ぽっと出の???」であることが意味を持つ作品なんて、初めてやった気がします。もちろん古今東西いろんな作品があるので、詳しい方は前例などご存知かもしれませんが。

 

 

討伐直後に急いで書いたので色々読みづらい&意味不明だと思いますが、どうしてもこの感動と熱を書き残しておきたかったので書きました。以上です。