【モンハン】MHワールド:アイスボーン 感想
大切に大切にゆっくりフリークエストを遊んで、心の準備も固めて、ラスボスに挑んで、エンディングまで行きました。エンディング後要素はこれからですが、ここまでのお話を振り返りつつ感想をまとめておこうと思います。
今作は終始感動で泣いていたんですが(笑)ラスボス戦の一連の流れはもう永遠に泣いてました。かなり強かったですが一番の敵は涙だったかもしれません。では本題です。当たり前ですがネタバレ満載ですので注意。
また「アイスボーン」は「ワールド」の続きの物語ですので、「ワールド」の設定の基本はご理解頂いている前提でお話します。
レイギエナの異変
本来、陸珊瑚の台地にいるはずのレイギエナがなぜか古代樹の森に、という話を聞いた主人公ハンター(以下“主人公”)とその相棒、主人公付きの編纂者(以下“受付嬢”)はさっそく調査に向かいます。そこで見たのは飛び去るレイギエナの大群と謎のモンスター(イヴェルカーナ)。そしてどこからか聞こえてくる歌のような音(受付嬢が“歌”だと直感的にとらえたのです。彼女のそういう感性が好き)。モンスターが向かっていったからにはそっちに陸地があるに違いない、と考えた新大陸調査団はじゃあそこめざして出発だー、となります。
このあたり、最初はワールドのメインテーマ「星に駆られて」のアレンジが流れていたのが、レイギエナ&イヴェルカーナが飛び去っていき海が一気に凍っていくシーンではアイスボーンのメインテーマである「継がれる光」のアレンジが流れているのが良いですね。ワールドからアイスボーンに物語が継がれたのだと感じられます。
この冒頭シーンでの要点は、前述のレイギエナや“歌”に関する謎はもちろん、主人公に向けての受付嬢のセリフ、「あなたはどうして新大陸に来たんですか?」だと思っています。
開発者の方々が度々おっしゃっていたことなのですが、今作アイスボーンでは調査団ひとりひとりのバックボーンまで含めて描いており人間ドラマ的な側面がある物語、ということでしたので、「なるほど、“あなたはどうして新大陸に来たの?”という問いが今作の登場人物たち全体にかかってくるんだな」とこのシーンで思いました。実際はこれだけでなく、「なぜイヴェルカーナが龍結晶の地(新大陸)に来たのか?」というメインモンスターのお話にも関わってくる問いでした。すごい。
新天地へ
レイギエナを追いかけついに見つけた陸地。主人公&受付嬢は早速空から降り立ちます。
モンスターハンターワールドの物語は、いつもお星様(導きの青い星)が降っていくところから始まるのです。
降り立った場所は、広大な氷の大地(渡りの凍て地)でした。これまでいた新大陸から大きく離れた場所のため、現大陸と区別するものだった新大陸とも区別され「渡りの凍て地」という単体の場所として扱われます。そのため前述の「イヴェルはなぜ凍て地から新大陸へ?」という問いが出てくるのです。
大自然と人々
様々なモンスター(様々すぎます。スタッフの皆さんの努力に感謝)に出会い謎を追う主人公たち。そしてイヴェルカーナの行動によってアステラ、セリエナの食料もめっちゃヤバいし、この地が寒冷化の道を選んだならもう現大陸に帰るしかないのか…ってところで出た「足掻こう」という言葉。
調査団は自然に敬意を払っていて、そこに生きるものとしても学者としても、自然の大きな流れに対してヒトの手を加えることには慎重になりがちです。
しかし、これはゾラ・マグダラオス誘導作戦の時と同じ。生態系の大きな流れを前にしても、自分たちもその自然の一部であるのだから、モンスター達と同じように自分たちもこの中で足掻く権利があります。
その言葉を発したのは調査班リーダーです。総司令の孫であり、この世界で唯一新大陸で産まれた人間。現大陸から来た他の人と違い、もともと自分が新大陸の一部であるという意識が強い彼ですが、もともとお話の冒頭では司令を引き継ぐことに対して否定的でした。
しかし、セリエナを任されていくなかで他の人達が調査中に傷つき、それを怒ったり悲しんだりできる彼の優しさは人々の信頼を集め、彼は彼なりに「司令」を引き継いでいくことになります。
アイスボーンのメインテーマ曲「継がれる光」の名の通り、今回はこのように「継ぐ」という構図がシナリオ全体にあります。
まずワールドの時点で、4期団までの人々が行ってきた古龍渡り調査の任を引き継ぐ主人公ら5期団。
アイスボーンでは、前述の総司令と調査班リーダーの関係や、師匠からの課題を継いだフィールドマスターと、同じ編纂者、同じ探求者として彼女と共鳴する受付嬢。
受付嬢はフィールドマスターだけでなく自身の祖父が残した謎も引き継いでいます。
少さいところでは、陽気な推薦組と彼の師匠であるモンハン4の筆頭リーダーなど、挙げればキリがありません。
受付嬢とフィールドマスターはラスボス戦直前「立ち止まってはいけない」という話をしていたのが印象的でした。そうしないと、継がれた光はそこで途絶えてしまうのですから。
死の収束点 ゼノ・ジーヴァ
ワールドのラスボス、ゼノ・ジーヴァは死にかけの古龍をフェロモンのようなもので引き寄せ、その膨大な生体エネルギーを集め誕生した、死の先にある圧倒的な生の鼓動を放つ、古龍の王たるモンスター。
設定資料集においても開発者の方が「生まれた直後だから(ゼノは力を操りきれてないので辛うじて)勝てる存在」と仰っていました。
本当に素晴らしい設定の古龍であったために、アイスボーンでこれを超える感動に出会えるのだろうか……みたいな心配をしていたのですが杞憂に終わりました。
滅尽龍ネルギガンテ
いよいよラスボスのいるフィールドへ。
しかし最初に対峙したのはネルギガンテの特殊個体「悉くを殲ぼすネルギガンテ」。ネルの別名「滅尽龍」と意味は同じですね。高純度のエネルギーを求め、全て(悉く、尽く)を滅ぼす存在。展開が熱すぎて死ぬかと思った……。この時のクリアBGMだけ「継がれる光」アレンジのではなく「星に駆られて」アレンジのを流すのが卑怯すぎました。そうだよ彼はモンスターハンター:ワールドのメインモンスターなんだよ…………。
そして今度こそいよいよラスボス戦へ。
大地を掌握するもの アン・イシュワルダ
今作のラスボスは、フィールドマスターの師匠が「大いなる存在」と表現した古龍。
大いなる存在の力で大地が崩壊していくなかフィールドマスターは自分のエゴにこれ以上主人公と受付嬢を巻き込めない、と撤退を提案します。しかし、ここで調査を止めるわけにはいかない、立ち止まるわけにはいかないのです。
励ましてくれるのは、ずっとペアとして編纂し、自分を見続けてくれた相棒たる受付嬢。
最高のハンターとしての信頼を託され、流れるシリーズメインテーマ「英雄の証」。崩壊する大地を堂々と歩む主人公の背中。ここら辺で泣きすぎて嗚咽しかけてました。でも今から自分自身が闘わなければならないのだから我慢我慢……。
戦闘開始。ゼノのときと同様、初戦では全く未知の調査団が発見した存在であるがゆえにモンスター名は「???」表記(最高)。BGMも熱くて泣ける。もちろん継がれる光のフレーズを確認。しかし見た目はモンハンフロンティアのタイクンザムザを思わせる「絶ッ対、中に何かあるぞこれ第一形態だぞ」感。第一形態はなんとか0乙で突破。ちなみにまだ泣いてる。
第二形態、なんかめっちゃ強そうな古龍出てきた…気絶からのビーム?で2乙。綺麗なやられ方だなぁ。そして31分でなんとか初見クリア(バゼルギウスのランスで行きました)。反省点も多かったですが初見でなんとか勝てて本当によかった。
地脈に干渉できる存在とあって必殺技(元気玉みたいだった)の威力は凄まじく、確かにこいつを野放しにしたら世界滅ぶだろうな…という説得力がありました。
(討伐後、ギルドから正式に新種の古龍として認定され「地啼龍 アン・イシュワルダ」と名付けられました。大地を揺るがし啼かせ歌を奏でる古龍の名に相応しいですね)。
ゼノがエネルギーを集め顕現した古龍の王なら、アンはエネルギーの流れそのものに干渉できる大地の王といったところでしょうか。
襲撃、そして終劇
なんとか討伐、そこにみんな集まってワイワイ。ところが目を覚ますアン・イシュワルダ。さすがにハンターの武器で倒しきれる存在ではなかったのでしょうか。
しかし怯まず立ち向かう面々。大団長の「来い!大自然!」が最高でした。そう、モンスターハンターは大自然と対峙するゲームなんだよ……(号泣)。
ここから第3戦か、と思ったその瞬間──
──現れるネルギガンテ。生きていたのです。そう、ネルギガンテの力は「驚異的な再生力」、そして「高エネルギーへの執着」。ハンターの攻撃から再生し、アンのエネルギーを求め滅ぼしに現れるメインモンスター。ここでまさかの歴戦王戦BGM。熱すぎて魂がどうにかなりそうでした。ワールドの終わりを締めくくったBGMは、アイスボーンまで含めた作品全体に終止符を打つ曲でもあったのです。
ここでネルとアンの縄張り争い、ハンターも交えた最終戦。みたいな流れだったら熱いなとか思ったんですが、ネルが完全にトドメをさすことでこの闘いは終わりました。
大団長の「これだから大自然って奴は…」ってセリフが物語っている通り、やはり人間などとても小さな存在であり、自分たちはいま目の前を凄まじい大自然(ネルギガンテ、アン・イシュワルダ)が通りすぎていくのを見ているしかなかったのかもしれません。
だとしてもそこで必死に“足掻いた”結果、辿り着いた今があります。
悉くを滅ぼす龍と、ここにいるちっぽけな人間たちは、確かに世界を救ったのです。
終わりと始まり
大いなる存在の調査が一段落したものの、新大陸の謎は尽きません。課題はなくても自分で見つけるもの。調査団はまた新たな謎を求めて旅立つのでした。~完~
総評
あ~~~~~~~~~泣いた泣いた燃えた感動した最高だった。
モンスターハンターがここまでの大自然と人間ドラマを描くまでに至った15年の積み重ね、PS4末期のゲームとしての最高峰のゲーム性やグラフィックス、サウンド…どれをとっても一級品の大傑作でした。未発表のモンスターも凄く多くて驚きまくってます。
あまりに巨大な作品なのでそれらのどの側面の話でも語ることは尽きないのですが、まずはクリア直後にこのお話への感動を残しておきたかったので急いで書きなぐりました。
スタッフの皆さん、これだけの感動を本当にありがとうございました。スタッフロールに記載されていた、「MONSTER HUNTER:WORLD Director&SPECIAL THANKS Yuya Tokuda」の文字はとりわけ印象的でした。ワールドという素晴らしい下地があって、アイスボーンという拡張コンテンツがあるのです。継がれる光を感じました。
~追記~
悉くを殱ぼすネルギガンテ討伐しました。アン直前の初見のときを意識してランスで行きました。純粋に楽しかったですね。因縁の相手なのでNPCの凝ったセリフやカットシーンみたいな盛り上げを少し期待してたのですが思ったよりあっさりでしたね。
今回一番気になったのは、ネルギガンテの初期位置が「荒地地帯」だったことです。弱ったときもここに来てましたね。
時は遡ること2017年、モンハンワールドのベータテストでだけ大蟻塚の荒地でネルギガンテと戦えたので、あそこで初めてネルギガンテと相対したハンターは自分含め多いはずです。
そして2019年、アイスボーン。
荒地地帯に佇む彼をみて、あの“初めて”の瞬間がフラッシュバックしたのでした。
因縁の彼との物語は荒地に始まり荒地に終わるんだなぁ、なんて思ったりしました。
作者そこまで考えてないシリーズかもしれませんけどそれでも感動したんです。ありがとう。
討伐後、また受付嬢が「あなたはどうして新大陸に来たんですか?」と問うてくれましたね。その答えはプレイヤーそれぞれの中にあると思います。友達に誘われたからとか、人気だから買ってみたとか。自分の答えは「モンスターハンターシリーズが大好きだから」です(笑)
あとクエスト名、「愛しの君とこの世のはたて」良いですよね!
「はたて」は「この世の果て」みたいな意味で「尽」とも書くそうです。滅尽龍…。
新大陸の物語の果てにおいての因縁の愛しき古龍との決着のクエストとしてセンスの塊みたいな名前ですね。なんかの和歌が元ネタなのかもですが浅学ゆえよくわかりません!(終わり)